星降る王国のニナ
記事の見方・信頼性

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感想は個人としての感想、総評は今まで読んだ漫画との相対評価として参考にしていただければ。
作品情報
【タイトル】星降る王国のニナ
【作者】 リカチ
【発売日】 2020/3/13
【掲載誌】 BE LOVE KC
登場人物

【ニナ】
姫巫女アリシャの身代わりとなる事になった孤児の少女。

【アズール】
姫と同じ目を持つニナを指導することになったフォルトナ国第二王子。

【セト】
フォルトナ侵略を目論む敵国ガルガダの王子でアリシャの婚約者。
あらすじ
舞台
フォルトナ国の王宮が舞台。
概要
馬車で移動中崖下へ転落し、死亡したフォルトナ国姫であり、神殿の巫女であるアリシャ。兄である第二王子アズールは婚姻間近だったアリシャの身代わりを立てることを検討する中、孤児であり貧民街で暮らしていたニナの存在を知る。一方一緒に暮らしていた友人に売られたニナはアズールのもとで姫としての立ち振舞を学び、3ヶ月後アリシャの代わりに他国へと嫁ぐことが来まる。
各話概要
※この項目はネタバレを含みます。
苦手な方は飛ばしてください。
各話タイトルと、大まかな流れのみ記載しています。
冒頭
処刑場へと向かうニナとそれを見下ろすアズールが描かれる
第1話 罪のはじまり
サジ、コリン兄弟とともに男の子として貧民街で暮らす瑠璃色の目を持つ少女ニナ。ある日病弱だったコリンは高熱を出し、そのまま息を引き取る。
ニナは妹の姫アリシャを失ったフォルトナ国第二王子アズールに売られ、身代わりとなることを強いられる。
第2話 偽りの謁見
尊大な態度のアズールに反発しながらも必要とされることの喜びを感じながら。姫としての教育が続き、王との謁見の日に。
なんとかやり過ごすニナだったが、前王妃の子であるアズールをよく思わない王妃に難題を押し付けられる。アズールの助けで逃れるが、退室後王妃に侮辱を受けるアズールを目撃。腹を立てたニナが池の水を浴びせかける。
第3話 灰金目王子の秘密
ガキンチョ(第一王子ムフルフ)に見つかり付き添うことになったニナ。
二人でアズールの弱みを握ろうと画策するが、互いのすれ違いからアズールと言い争いになったムフルフは走り去り、追いかけたニナとともに古井戸へと落ちてしまう。
そこでムフルフが本当は兄を慕っていることを知ったニナの助けもあり、救出に来たアズールと長年のスレ違いを解消する事ができた二人。
アズールはニナから「おばけの怖いでべそ」の称号を賜る
第4話 失われた名前
姫としての立ち振舞が板についてきたニナだが、連日不自然な視線を感じ落ち着かない。一方ですっかり懐かれたムフルフから嫁ぎ先のガルガダ第一王子の不穏な噂を聞かされる。寂しさや不安を感じる中、アズールの不正を疑う一派にそそのかされ、”ニナ”としての存在の証明をお求めて王宮を抜け出し3人で暮らしていた貧民街の家へ向かうが、そこには誰もおらず、襲撃を受けるがアズールが敵を全滅させる。
婚姻まで残りひと月半。
第5話 ふたつの運命
ニナという名前を呼んでくれるアズールはニナの中で特別な存在になりつつある。ある日アズールへの暗殺を目論む工作を見かねたニナは曽祖父である大上皇の離宮へ単身直訴に向かうも偽物であることを看破されてしまう。
第6話 夢咲く夜
離宮にて投獄中、自分以外の関係者に害が及ばないように心象を良くしようと鼻歌交じりに牢屋を掃除するニナだったが、あまりの奇行に呼び出しを受ける。そこへアズル―ルが駆けつけニナを守ろうとするが、大上皇はむしろ愉快だとお咎めなし。アズール自身も病死した王子の替え玉であることが明かされる。
同じ境遇で、お互いが本来の自分を必要とされていることに気づいたアズールは衝動的にニナにキスをしてしまう。
第7話 盤上を統べる者
現王が黒幕でクソヤローであることが判明。ニナはアリシャとしてガルガダに嫁ぐことでアズールを守ることを決意する。
第8話 出立の日
街へと出かけることになった二人。
その思い出を抱いてニナは婚姻を白紙に戻すべく尽力するアズールを大上皇の力を借りて出し抜き、黙って留守中にひとり旅立つことに。
はめられたことに気づき急ぎ馬を飛ばすがアズールは間に合わず。
巻末では多くの国の姫を侍らせる非常なガルガダ王子が描かれる。
第9話 真紅の瞳
ガルガダ国に到着するも放置され理不尽な扱いを受けるニナ。フォルトナからの侍女は大上皇の息のかかったヒカミだけに。
城内を探索中、王子セトと出会い改めて歓迎の場を用意されることとなるが、政治の道具として扱われる属国の姫二人も同席し、空気は重い。セトの言動にニナは自分も同じ立場であることを理解する。
第10話 試練のとき
絶望に打たれるも、アズールの夢を見て一晩で立ち直るニナ。
セトと会話を試みるもあしらわれ、侍女とした来たばかりのアンと友達になり仕事を教えてもらうという謎の行動に。
難癖で近衛隊長にいびられるアンを助けようとしてセトに剣で切りつけられるも気丈にそれを逆手に取るニナだったがそのまま気を失ってしまう。
第11話 はじめての姫
一命をとりとめたニナが目を覚ますと、残りの2人の姫が逃げたため粛清の名目で遠征中のセトは不在。変態近衛隊長が侍女たちに手を出す現場に遭遇、助け出す。更に一計を案じ手を出してきた変態近衛隊長をヒカミから教わった柔術で返り討ちにし追放。意図せず今まで無視だった城の従者たちの人心掌握に成功。
帰ってきたセトと一悶着の末セトのペットの鳥の世話係になる。
第12話 銀の世界
ガルガダ本国で王と謁見することになったニナ。
直前にセトにいたずらに唇を奪われ精神的に不安定な中、天気の悪い道中馬車が崖下へと転落。ニナは無事だったが、逃げ去った鳥を探して森に踏み入り、迷子になっていたところへ虎が。
一方アズールは王として戴冠する。
第13話 鮮血
鳥に呼ばれ現れたセトが虎を射殺。
共に開けた場所まで移動するが、ニナはセトが傷を負っていることに気づく。うなされるセトを介抱するニナ。神と愛情を憎むセトの過去が少し語られる。
少しセトと打ち解け、鳥の名前から取ってニナと呼ばれることに。虎の子供を拾う。
第14話 大国の夢
王都に到着早々他の三人の兄弟達と一触即発の状況となりニナが止めるが盛大にやらかす。
その後セトとの関係は少し進展するも、王の一声で王子たちによるニナの奪い合いが始まることに。
第15話 争奪
元第二王子に監禁されるも脱出。捕まりバツとして足を切り落とされそうになるがセトに助けられセトの宮殿へと戻る。
第16話 血の記憶
幼少期のセトが隔離されていた血の神殿へと赴き、セトの過去を知ることとなる。それに同情してセトにも幸せな気持ちを知ってほしいと願うニナ。
二人が戻るとフォルトナからの使者が。その中には王となったはずのアズールの姿が。
第17話 拒絶
飛び出して使者の元へ行くニナだがアズールは目も合わせない。再度滞在する居室へ向かうが結果は同じ。またそれを見咎めたセトが使者達を数日後の祭りの余興として闘技大会に出場させることに。
第18話 懸想の窓
「一年だけの王だ。フォルトナに尽くして死ね」という王からアズールへの言を聞いてしまい思い悩むムフルム。
セトから唐突に好きという告白を受けるニナ。一方闘技大会では褒美と地位が与えられることから代理戦争の様相に。そしてなぜか剣術を習い始めるニナ。
大切なものを守りたいという思いを強くする中、夜中にアズールが現れ婚姻までに連れ戻すと言う誓いをたてられる。
第19話 星の民
いろいろわからなくなって死ぬニナ。
しかし死んでいる場合ではないのでヒカミに事情を問いただすが、星の巫女重要性について話されはぐらかされる。
何気ない会話でセトから改めて自分の立場を聞かされ無力感に涙するニナ。
様々な思惑が錯綜する中大会当日、ニナは盛大に着飾り王の前へ。自身への褒美としてフォルトナを要求する。
ニナが初めて姿を目にしたその王は女性だった。
第20話 口蜜腹剣
1年以内にアリシャの奪還・国政の安定をさせたのち諸々の責任を押し付けられ始末される契約をフォルトナの愚王と交わしていたアズール。しかし当然王権を返還するつもりなど無い。
ガルガダの女王は前王の妹で実力主義。元第二王子が手違いで呼んだ犯罪者の闘士が敗者を虐殺するも止める素振りはない。
見かねたニナは王命を無視して会場に飛び入り敗者の救出を試みる。しかし末の王子の画策で本当の狙いはニナであった。アズールが助けに入り、同じく駆けつけたセトが相手を倒すが、今度は両者が戦うことに。なりそう。
作者
作者は「リカチ」
本作が24作目の単行本作品になります
2004年から活動されている作家さんで、明治大正期を舞台にした作品や少女漫画・TL系のジャンルが有名です。イラストの仕事や短編なども多く書かれており、職業漫画化のイメージが強い印象です。
ホームページ・SNS
あ、さっきリツイートに使ったこの画像は2巻カバーの元絵です。
— リカチ (@rikachimore) July 13, 2020
背景は5話の扉がもとになってます。サンプルとして合わせてみたやつなのです。なんで、人物は最後の仕上げが入ってません。 pic.twitter.com/4dxyYKUgOS
その他の作品
単行本
その他の作品は以下からご確認ください。
感想
結構大味な展開が目立つものの、それが逆に面倒な説明がなくて読みやすいです。主人公ニナも元気ハツラツ愛されキャラでみんなに慕われ好感が持てます。そしてなんと言っても画面が綺麗。最新5巻はセトとアズールの戦いになるか!?というまさにこれからどうなるとところでの引きだったので早く6巻が読みたいところ。筆者としては1巻冒頭の処刑シーンがあるので最終的にはもう一度アリシャとして殺されてニナに戻ろうのかなと思っているのですがどうでしょうか。5巻ではもはやニナにベタベタでどうしても当て馬イメージの強いセトにも頑張って欲しいところ。
にしても王様クソすぎでは…?
みんなの感想
- 表情豊かなニナ。少年のようでもあるけれど、ここから恋を知り変わっていく姿を見るのも楽しみである。
- 基礎セッティングが良い。
- また新たなリカチさんワールド~!!!絵もストーリーもいつも素敵!今作も面白そうな予感!!
- 絵がいいです。ストーリーも期待できる。全部読もう。
- 大好きがいっぱい詰まっている……。
読書メーター
正直ジャケ買いしました
総評
どんどん展開していく小気味よい作品。
流石に経験豊富な作者さん、冒頭からダラダラ設定を書くというような愚は犯さず、かなり展開力やテンポを意識した構成にしているのが見受けられます。ニナのキャラクターも好印象でさすがに心得ているという感じ。
ただ引き換えにちょっと深みの足りてない印象もあり、展開の理由付けや合理性などはよくわからないところも散見します。ニナはだいぶ無茶苦茶ですが基本みんなスルー。細かいところは気にせずサクサク読むのが吉です。
内容
テンポが良くてどんどん読めます。キャラクターもわかりやすく、読みやすさはかなり高くなっています。
作画
絵がうまいのはもちろんなのですが、単に技巧的と言うよりなんだか素敵な絵と言う印象。特にカラー絵の色使いなんかは癒やされます。
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